PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
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“átoa(アトア)”<次世代劇場型・都市型水族館オープンに向けて>
「アトア (AQUARIUM×ART)」
神戸港の新港突堤西地区の再開発で、新たに建設された文化施設棟KPM(神戸ポートミュージアム)に入っている核テナント。
Aquarium(水族館)to(と)Art(アート)が融合した劇場型の都市型水族館。
各エリアにはゾーンテーマを象徴したシンボル水槽が設置してあり、デジタルアートや舞台芸術を駆使したアート空間に、魚類のほか、無脊椎動物や両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など約100種3,000点の生きものが共存している。リアルとバーチャル、夢と現実がクロスオーバーする不思議な空間を展開している。
「ゾーンエリアの創造実現」
átoaには大きく分けて8つのゾーンがあり、当社はそのゾーン中で、2階の『 CAVE 』『 MARINE NOTE 』『 ELEMENTS 』 3階の『 GALLERY 』『 PLANETS 』において、照明設計の演出方針に対して、施工・調整などの技術的な課題を解決して行った。設計の段階では、新型コロナウイルスが蔓延している時期でもあり、顔を合わせて打ち合わせが出来ない中、リモート会議を使い多くの議論を行った。そして、想像しているイメージを実現させるべく、最新技術を駆使して具体的な方法に落とし込む事が出来たころには施工の期日が目前に迫っていた。演出器具の角度による光の当たり方、色合い、明るさにより、主役である生きものたちの水槽が全く違った顔となるため、設計者と共に、何度もシューティング試験を繰り返して一番良く見える調整を行った。
「各エリアでの演出」 【CAVE-はじまりの洞窟】
水族館の玄関口では、魚の群れが頭上で輝いている。この魚の形をした器具は、3段階の高さに設置されている。高さについては人が手を伸ばして触れない高さ、一番きれいに見える器具の間隔にあわせ、細やかな灯具の設置調整を求められた。
ここだけの話、魚には1匹ずつ下からは見えない背中にはシールが貼られていて、1・2・3と番号がついている。プログラム制御により番号事に色や明るさ・点灯消灯の指令を出し、順番を決め光らせることにより魚の群れが実際に勢いよく泳いでいるように見せている。
「各エリアでの演出」 【MARINE NOTE-生命のゆらぎ】
照明器具を使い、空中にある回転する球体ガラスに光を当てて乱反射させることによりまるで水面が揺らめいているような演出を実現している。それにより、空間全体を海中世界のように見せ、お客様はまるで海中浮遊しているかのように感じられる演出になっている。
当社は照明器具の取付けを実施した。
「各エリアでの演出」 【ELEMENTS-精霊の森】
神秘の森をイメージしたエリアで、本物の流木を集めてきて使い、手作業で一つ一つデザイナーが組み上げている。その木の枝に、演出照明で緑色の光を照射し、木に緑の葉が覆い茂った様に見える演出している。さらに、フラッドライト照明で、イエローアンバー・オレンジアンバー・レッドアンバーとランダムにカラー変化させるなど、神秘的で不思議な空間を演出している。
当社は照明器具の取付けを実施した。
「各エリアでの演出」 【GALLERYー探求の回廊 】
アート作品に合わせて、約4mの仮想天井高さからスポットライトを照射。アートの額縁の影がきれいに浮かび上がる位置と明るさを丁寧に調節した。天井には隙間なくダクトが敷設されており、照明を吊る事が出来なかった。そのため、照明器具を取付する配線ダクトを取付け、器具の重みで捻じれが生じ照射角度がずれない様にと、ワイヤーで引っ張り上げて補強調整したりもした。
「各エリアでの演出」 【PLANETSー奇跡の惑星】
日本最大規模の球体水槽を中心とし、宇宙をイメージして床照明が織りなす光のベールが包み込んでいる。当社は、床面に数多くの光ファイバーを敷設した。ミリ単位での配置調整や、穴あけ作業など数多くの失敗できない作業であった。細かな調整をしながらの作業は、想像以上に緊迫した期間であった。
「”プロのこだわり”をもった仕事への挑戦」
こだわりを持った仕事をするのもプロフェッショナルであるためには必要な事。今回の展示エリアについては空間を広く見せるためにどこも天井の無い仕上がりにとなっている。天井は無いが、出来る限り配線は見えない様に隠したり、見える場所は見栄え良くしたりと隅々まで目を光らせた。また、スイッチやコンセントについては利便性を損なわない機能を残しつつも目につきにくい配置にこだわった。その他にも、小さな部品の一つ一つまで黒色塗装を行い、空間に同化させるなど、見た目へのこだわりに関しても妥協することなく、とことん追求していった。
「オープンに向けて」
いよいよオープンが近づいてくると水族館には次々と生きものたちが入ってきた。生きもの達は非常に繊細で、大きい音の出る作業は禁止となったり、搬入EVの使用制限が設けられたり、徐々に制約が課せられていく中での工事だった。
しかし、各エリアで演出テストを重ねて行く中では、水族館のイメージ・コンセプトに沿うようにと何度も調整作業や変更作業がオープンギリギリまで行われた。
その甲斐あって、最後には関係者全員が満足いくものになり、プレオープン日には多くの人が訪れ『すごくきれい』というような多くの声を聞き達成感と充実感を感じ嬉しく思った。
「神戸の新スポットとして」
オープン間近になると、現場内では連日、各メディアの取材が行われているのを見かけた。TV番組でのニュースや特集を組まれたり、インターネットニュースなどátoaの報道を毎日見るようになった。さらに、SNSなどでも多く投稿されるようになっていった。日本中に大々的に報道されるような工事に携わることが出来て、本当にうれしく思うしやってよかったと、大きなやりがいを感じた。家族や友達からもいろいろ尋ねられることも多く、自分の中での大きな自信にもつながった。
まだまだ学ぶことも多いけれど、みんなを笑顔にする建物に携われたことは誇りに思う。
業務範囲
水族館企画プロデュース:株式会社アクアメント
展示計画/設計/制作 :株式会社トータルメディア開発研究所
照明デザイン :lino
電気設計・演出照明施工:当社(藤井電機株式会社)